【「一緒に生きよう」が響く】阿部 暁子『カフネ』による再生の物語

小説


「次にくる本」を本好きが選ぶ本屋大賞で第1位に輝いた『カフネ』。
Audibleの本屋大賞特集で配信後、即聞かせていただきました。
癖が強めな二人の女性の関係性の変化に惹き込まれる展開に一気に読み(聞き)進めました。
心温まること間違いなしのこの作品の魅力について紹介します!(ネタバレ無しです)

著者:阿部 暁子(1985年生まれ)
発売日:2024年5月22日
出版社:講談社
受賞歴:2025年本屋大賞、第8回未来屋小説大賞、など

あらすじ:
41歳の法務局勤務・野宮薫子は、離婚や不妊治療の失敗などを経て心身ともに疲れていた。
そんなとき、追い打ちをかけるように突然弟・春彦(29歳)を失い、遺言書を通じて弟の元恋人・小野寺せつな(29歳)と対面する。
最初はぎこちなかったものの、せつなの手料理に触れて心がほぐれ、彼女が関わる家事代行サービス「カフネ」の手伝いをきっかけに、少しずつ人生に再び光が差し始める――。

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配信日:2025年4月9日
ナレーター:岸本 百恵
再生時間:10時間31分

  • 物語の展開:⭐️⭐️⭐️⭐️☆
    故人を通して進む主人公たちの関係性ですので哀しさが漂うシーンが多いですが、読み(聞き)進めていくにつれてだんだんを温かみを感じられるようになるのが良かったです。
    相続・ネグレクト・多様性・不妊などさまざまな要素を取り入れた展開になっているので考えさせられることが多い展開になっています。
  • 感情の揺さぶり:⭐️⭐️⭐️☆☆
    物語の展開にやや穏やかさが続くため、ハラハラ・ドキドキを求める人には少し物足りないかもしれません。
    ただし、読後に温かい余韻が残る点は間違いなく高い評価ができます。
  • 登場人物の魅力:⭐️⭐️⭐️⭐️☆
    冷静で理性的な性格ながら、その心に大きな孤独を抱える野宮薫子
    ぶっきらぼうに見えても、手料理を通じて人に寄り添うやさしさを秘めている小野寺せつな
    一見交わることがないと思われる2人を、故人:春彦の存在が2人のつながりに光を落とします。
    その他家事代行サービス「カフネ」の依頼人たちにもそれぞれ人生があり、主人公たちの人生も彩っていく設定になっています。
  • ナレーターのマッチ度:⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
    薫子とせつな、そして周囲の登場人物含めて非常にうまく演じ分けられています。
    メイン2人については41歳と29歳という設定よりも少し年齢が上に感じるトーンかな、という気もしますが、この作品にはこれが非常にマッチしていると自信をもって言えます。

ナレーションの上手さも相まって、読後に温かい余韻を味わうことができること間違いなしです。
今後の2人がどうなっていくのかを読者に想像させる終わり方も素敵でした。
自分なりに思い描いてはいますが、よければ皆さんの感想などもコメントなどでお寄せください。

最後に、度々出てくるせつなさんの手料理はいつも意味があります。
描写が素敵なので「めっちゃ美味しそう!」と思いながら聞いていましたが、その意味を知ると「なるほど!」と毎回のように感じました。
料理の意味という観点でも楽しんでみてください。

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