【湿地の少女と呼ばれた人生】ディーリア・オーエンズ『ザリガニの鳴くところ』Audibleレビュー

小説

世界中で愛されたベストセラー『ザリガニの鳴くところ』。
本にあまり興味を持っていなかった時期のわたしもそのタイトルは耳にしたことがありました。

湿地でたったひとり育った少女カイアの成長と村を揺るがす事件が交錯する物語は、単なるミステリーを超えて“人間の根源”を描いた作品となっています。
Audibleで聴くと、湿地の音や鳥の声まで浮かび上がるような臨場感があり、より深く味わうことができました。

今回は、静けさと激しさが同居する本作の魅力をレビューを通じて紹介します。
(ネタバレは無いよう配慮していますが、話の中身に触れる点はありますのでご了承ください。)

発売情報・受賞歴

著者:ディーリア・オーエンズ (1949年4月4日生まれ)
発売日:2020年3月5日
出版社:早川書房
受賞歴:本屋大賞翻訳小説部門 第1位受賞(2021年)、週刊文春ミステリーベスト10 第2位(2020年)

あらすじ

ノース・カロライナ州の湿地で男の死体が発見された。
人々は「湿地の少女」に疑いの目を向ける。6歳で家族に見捨てられたときから、カイアは湿地の小屋でたったひとり生きなければならなかった。
読み書きを教えてくれた少年テイトに恋心を抱くが、彼は大学進学のため彼女のもとを去ってゆく。
以来、村の人々に「湿地の少女」と呼ばれ蔑まれながらも、彼女は生き物が自然のままに生きる「ザリガニの鳴くところ」へと思いをはせて静かに暮らしていた。
しかしあるとき、村の裕福な青年チェイスが彼女に近づく…みずみずしい自然に抱かれて生きる少女の成長と不審死事件が絡み合い、思いもよらぬ結末へと物語が動き出す。
全米500万部突破、感動と驚愕のベストセラー。

※Audible ザリガニの鳴くところ あらすじより引用

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配信日:2020年5月15日
ナレーター:池澤 春菜
再生時間:16時間52分
評価:☆4.7 2,819件の評価
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物語展開・構成の評価

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
静かな湿地の物語と思いきや、成長ドラマとミステリーが見事に融合した展開に引き込まれます。
少女カイアが家族に見捨てられ、ひとりで自然と共に生き抜く姿はたくましく、聴くほどに彼女の世界に惹き込まれていきました。

村で起きた殺人事件をめぐる謎解きの要素も加わり、物語が一気に動き出します。
過去と現在を行き来する構成がとてもスムーズで、静けさと緊張感が交互に訪れるリズムが絶妙でした。

これらをAudibleで聴くと、湿地のざわめきや鳥の声が耳に残り、まるで映画を音で観ているような没入体験が味わえます。

感情の揺さぶりと読後の印象

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
カイアの孤独と再生の物語は、聴き進めるほどに心を揺さぶられます。
誰にも頼れず生きる少女が、自然に抱かれながら成長し、愛を知り、そして裏切りや喪失を経験する、その過程があまりに美しく切ないです。
そしてラストで明かされる“真実”に、思わず息をのむ瞬間も。

聴き終えたあとには、深い静寂とともに「人はどんな環境でも生きる力を持っている」と感じさせてくれます。
重くも温かく、心の奥に静かに残る読後感でした。

登場人物の魅力

⭐️⭐️⭐️⭐️☆
主人公カイアは、傷つきながらも決して折れない強さを持つ女性でした。
孤独の中でも自分らしく生きようとする姿勢が印象的で、彼女の“自然との共存”は本当に美しいと感じさせられました。

彼女を支えるテイトの誠実さや、ジャンプ&メイベル夫妻の優しさも心に残りますし、一方で、チェイスの二面性や村人たちの偏見など、人間の弱さもリアルに描かれており、物語に厚みを加えています。

登場人物それぞれの立場が見えてきたとき、この物語の深みを改めて感じることができると思いました。

ナレーターの演技・声の印象

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
ナレーター:池澤 春菜さん朗読が物語の空気を完璧に再現しています。
カイアの幼いころの不安やあどけなさ、大人になってからの静かな強さ、その変化を声で繊細に演じ分けていて、聴いていて自然に感情移入できました。

湿地の情景描写や、裁判の緊迫した場面、テイトとの穏やかな会話など、シーンごとに声のトーンが絶妙に変化します。

池澤春菜さんのナレーションが、この物語に見事に寄り添っています。
カイアの繊細な心の揺れや、湿地の静けさ、登場人物たちの息づかいまで丁寧に表現され、まるで映画の音の中にいるような没入感。
文字で読むのとはまた違う「音の文学体験」として、『ザリガニの鳴くところ』の世界をより深く味わうことができます。

Audibleで聴くことで、より豊かに心に残るはずです。
ぜひ、カイアとともに湿地の風を感じてみてください。

本レビューがみなさんの参考になって、誰かがこの物語に出会うきっかけになれば嬉しいです。
感想もコメントでぜひ教えてください!

2022年11月18日にソニー・ピクチャーズエンタテインメント配給にて劇場公開されています。
基本的には原作に沿ったストーリーになっていますので、小説の映像版ということで楽しめます。

受賞歴をみてみると「第80回 ゴールデングローブ賞(2023年)」とあったので、「おっ」と思いましたが、「最優秀主題歌賞 ノミネート」とのことでした😅

U-NEXTで観ることもできるので、よければ観てみてください。

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