成瀬あかり――こんなにマイペースなのに、惹きつけられる主人公、他にいないのでは😂
宮島未奈さんのデビュー作『成瀬は天下を取りにいく』は、滋賀を舞台に“自分を曲げない女子高生・成瀬”のまっすぐな生き方を描いた青春ストーリーです。
ちょっと風変わりだけど、気づけば彼女の考え方に共感したり、勇気をもらっている自分がいる、そう思わせてくれる不思議な魅力にあふれています。
Audible版では、漢字違いの「鳴瀬(なるせ)まみさん」による朗読が、テンポのいい会話やユーモアをより際立たせていて、まるで成瀬たちのやり取りを隣で聴いているような臨場感を味わえます。
今回は、2024年の本屋大賞も受賞した圧巻の青春小説となっている本作について、レビューを通じて紹介します。
（ネタバレは無いよう配慮していますが、話の中身に触れる点はありますのでご了承ください。）
宮島 未奈『成瀬は天下を取りにいく』 作品概要
発売情報・受賞歴
著者：宮島 未奈（1983年10月16日生まれ）
発売日：2023年3月17日
出版社：新潮社
受賞歴：第21回本屋大賞 大賞（2024年）、第39回坪田譲治文学賞（2024年）
あらすじ
「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」。
各界から絶賛の声続々、いまだかつてない青春小説！
2020年、中２の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。
コロナ禍に閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。
M-1に挑戦したかと思えば、自身の髪で長期実験に取り組み、市民憲章は暗記して全うする。
今日も全力で我が道を突き進む成瀬あかりから、きっと誰もが目を離せない。
※Audible 成瀬は天下を取りにいく あらすじより引用
Audible版『成瀬は天下を取りにいく』の概要
配信日：2024年4月5日
ナレーター：鳴瀬 まみ
再生時間：5時間4分
評価：☆4.6 4,268件の評価
▶ Audible公式ページで作品詳細を確認
『成瀬は天下を取りにいく』個人レビュー（星評価付き）
物語展開・構成の評価
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
西武大津店で西武ライオンズのユニフォームを着てTVに映り込む少女：成瀬の登場から始まり、しょっぱなからド肝を抜かれます😳
そこから滋賀の街を舞台に、M-1に出場したり、地元の行事に参加したり、全体を通して「成瀬あかり」という人物像が鮮やかに立ち上がってくるのがすごかったです。
静かな日常の中に笑いや発見がちりばめられていてテンポも良く、最後まで飽きさせないリズム感がAudibleとの相性も抜群です。
感情の揺さぶりと読後の印象
⭐️⭐️⭐️☆☆
泣けるというより、じわっと心が温かくなるタイプの物語です。
強く主張する場面よりも、成瀬の言葉の端々に「自分を貫くってこういうことなんだな」と感じる余韻がありました。
派手な感動ではないけれど、日常に戻ってもふと成瀬の声が心に残るような、静かな余韻が魅力。
あとはただただ成瀬にクスッとさせられます笑
登場人物の魅力
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
主役の成瀬あかりは、やっぱり一番の魅力です！
マイペースで口数が少ないけれど、思ったことははっきり言う、そんな彼女のブレなさが、周囲の人たちをいつのまにか動かしていきます。
幼なじみの島崎との絶妙な掛け合い、クラスメイトとの温度差のある会話、そして商店街の人々との交流。どの関係にもリアルな温かさがあります。
彼女に出会うことで周囲が少しずつ変わっていくのを聴いていると、「ああ、人を動かすのは大声じゃなく、信念なんだな」と感じさせられます。
登場人物みんなが生き生きしていて、ドラマのような臨場感がありました。
ナレーターの演技・声の印象
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
「鳴瀬(なるせ)まみさん」によるナレーションはテンポも声色も抜群。
成瀬のクールな雰囲気をしっかり表現しつつ、島崎の成瀬に振り回される様子や、地元の人々の温かさや日常の笑いもしっかり伝えてくれます。
淡々とした語り口の中に、ユーモアやちょっとした感情の揺れが繊細に感じ取れるのが見事です。
特に、会話のテンポ感や間の取り方が絶妙で、ラジオドラマのような臨場感があります。
滋賀の風や空気、教室のざわめきまで聞こえてくるような、心地よい没入感が魅力です。
総評 ▷ Audibleの聴き読書をオススメします！
こんな方にオススメします
- 成瀬あかりの“ブレない生き方”に勇気をもらいたい方
- ユーモアの間（ま）や登場人物の温度感を耳で味わいたい方
- 聴きながらクスッと笑えて、元気をもらいたい方
Audibleで聴く『成瀬は天下を取りにいく』は、とにかくテンポが心地よかったです！
成瀬あかりのまっすぐでズレたような発言も、鳴瀬さんの声とテンポ感によってより魅力的に響きます。
日常にちょっと疲れたとき、気持ちをリセットしたいときにもぴったり。
滋賀の空気を感じながら、成瀬の世界を耳で旅してみてください。
きっと聴き終えたあと、「今日も自分のペースで行こう」と思えるはずです。
本レビューが少しでも参考になり、「聴いてみようかな」と思っていただけたら嬉しいです。
感想もコメントなどでぜひ教えてくださいね！
おまけ：成瀬シリーズ
今回紹介したシリーズ第一作に続き、以下の二作品が発売・発表されています。
あらすじのみ新潮社HPより引用させていただきます。
これらもまた機をみてレビューをしたいと思いますので、ご期待ください。
成瀬は信じる道をいく
発売日：2024年1月24日
成瀬の人生は、今日も誰かと交差する。「ゼゼカラ」ファンの小学生、娘の受験を見守る父、近所のクレーマー主婦、観光大使になるべく育った女子大生……。個性豊かな面々が新たに成瀬あかり史に名を刻む中、幼馴染の島崎が故郷へ帰ると、成瀬が書置きを残して失踪しており……!? 読み応え、ますますパワーアップの全5篇！
成瀬は都を駆け抜ける
発売日：2025年12月1日 予定
高校を卒業し、晴れて京大生となった成瀬あかり。一世一代の恋に破れた同級生、達磨研究会なるサークル、簿記YouTuber……。新たな仲間たちと出会った成瀬の次なる目標は“京都を極める”！ 一方、東京の大学へ進学した島崎みゆきのもとには成瀬から突然ある知らせが……!? 最高の主人公に訪れる、究極のハッピーエンドを見届けよ！
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基本的に無料体験期間があるので、まずはお試しだけでもオススメします。
家事や自動車通勤など、手は空いていないけど耳は空いている時間がある方は、その時間を有効活用できるようになりますよ！
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