金原ひとみさんの『ミーツ・ザ・ワールド』は、新宿歌舞伎町を舞台に、腐女子の由嘉里が魅力的な登場人物たちとの交流を通していろいろな考え方に触れていく物語です。
ナレーションを務める島袋美由利さんの由嘉里にピッタリなやわらかい声が、心の揺れや静かな感情をそっと包み込み、聴くほどに物語の余韻が深まっていきます。
淡々した話の展開ながらも、確かに心を動かしてくれるAudible版の魅力を、じっくり味わいたくなる一作です。
今回は、2025年10月に映画も公開された本作の魅力について、レビューを通じて紹介します。
(ネタバレは無いよう配慮していますが、話の中身に触れる点はありますのでご了承ください。)
金原 ひとみ『ミーツ・ザ・ワールド』 作品概要
発売情報・受賞歴
著者:金原 ひとみ(1983年8月8日生まれ)
発売日:2022年1月5日
出版社:集英社
受賞歴:第35回柴田錬三郎賞(2022年)
あらすじ
焼肉擬人化漫画をこよなく愛する腐女子の由嘉里。
人生二度目の合コン帰り、酔い潰れていた夜の新宿歌舞伎町で、美しいキャバ嬢・ライと出会う。
「私はこの世界から消えなきゃいけない」と語るライ。
彼女と一緒に暮らすことになり、由嘉里の世界の新たな扉が開く……。
推しへの愛と三次元の恋。
世間の常識を軽やかに飛び越え、幸せを求める気持ちが向かう先は?
死にたいキャバ嬢×推したい腐女子――金原ひとみが描く恋愛の新境地。
※Audible ミーツ・ザ・ワールド あらすじより引用

Audible版『ミーツ・ザ・ワールド』の概要
配信日:2025年10月8日
ナレーター:島袋 美由利
再生時間:9時間9分
評価:☆4.7 172件の評価
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『ミーツ・ザ・ワールド』個人レビュー(星評価付き)

物語展開・構成の評価
⭐️⭐️⭐️⭐️☆
金原ひとみさんらしい繊細さと鋭さが同居する物語です。
腐女子の由嘉里を中心に、キャバ嬢のライやホストのアサヒなど、夜の街を生きる人々の孤独と希望が交錯します。
大きな事件が起こるわけではありませんが、由嘉里の心の移ろいを丁寧に描く構成で、静かに読者の心を掴んで離しません。
登場人物たちそれぞれ死への考え方の違いがあり、いろんな考え方があるということを改めて実感させられます。
また、作中に登場する「焼肉擬人化漫画 ミート・イズ・マイン」を通して、焼肉を食べるシーンが何度も出てきます。
その結果、ひたすら焼肉を食べたくなることは間違いなしです🥩
感情の揺さぶりと読後の印象
⭐️⭐️⭐️☆☆
怒りや涙というより、「息づくような哀しさ」や「人との距離の難しさ」がじわりと沁みてくる作品です。
特に、由嘉里がライやアサヒとの関わりの中で、自分の居場所を模索していく姿が印象的です。
由嘉里を通して、「あ、これも思い込み・偏見だったんだな」と気づかせてくれました。
登場人物の魅力
⭐️⭐️⭐️⭐️☆
腐女子の由嘉里の性格はちょっとめんどくさいと思ってしまうところもありますが、その由嘉里が全く違う世界の住人と関わりいろんな考え方があることを学んでいきます。
その過程を通して、聴き手は由嘉里にどんどん愛着が湧いてくる、そんな主人公です。
その他の登場人物も社会の片隅で懸命に生きています。
キャバ嬢のライは明らかに脆さを抱えていますが、由嘉里の人生を大きく変えていきます。
ホストのアサヒの優しさには胸が暖かくなりますし、由嘉里を見守るような存在であるおしんの言葉がふと心に残ります。
彼らそれぞれの「生きる形」が丁寧に描かれていて、読み進めるほどに人間の深みを感じさせます。
ナレーターの演技・声の印象
⭐️⭐️⭐️⭐️☆
島袋美由利さんのナレーションは、作品の繊細なトーンにぴったりでした。
主人公の由香里の腐女子感も見事に演出されていますし、淡々とした語りの中にも心の揺れや、ライやアサヒたちとの関係性の微妙な温度差がきちんと伝わってきます。
ひとつ注意点としては、由嘉里の性格上、ブツブツと発言するイメージで朗読してくれていますので、ちょっと聞こえづらいところがありました。
聞こえづらいなと思ったら、いつもより少しボリュームを上げることをオススメします。

総評 ▷ Audibleの聴き読書をオススメします!
こんな方にオススメします
- 派手な展開よりも、人の心の機微や静かなドラマをじっくり味わいたい方
- 夜の街や人間関係の“ぬくもりと痛み”を感じてみたい方
- 現代を生きる息苦しさに共感したい方
- 落ち着いたナレーションでゆっくり世界観に浸りたい方
島袋美由利さんのナレーションが、本作品の繊細でリアルな世界をやわらかく演出しています。
聴いているうちに、由嘉里やライ、アサヒたちの息づかいがすぐそばに感じられるような不思議な感覚になります。
新宿歌舞伎町に生きる人々の心の機微・人間のぬくもりを、ぜひ耳で味わってみてください。
本レビューが少しでも皆さんの参考になって、「聴いてみようかな」と思っていただけたら嬉しいです。
もし聴かれた方がいたら、感想もぜひ教えてくださいね!
みなさんの感じた“ミーツ・ザ・ワールド”の余韻を、ぜひ共有しましょう。

おまけ:映画『ミーツ・ザ・ワールド』
2025年10月より、映画が公開されます!
由嘉里を「杉咲 花さん」、ライを「南 琴奈さん」、アサヒを「垣 李光人さん」が演じられます。
映画の公式HPを観ても雰囲気など良さそうです。
やはり、杉咲花さんがイメージドンピシャですね。
映画を観られた方は感想教えてください!

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