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実際にAudibleを利用した体験をもとに、正直な感想をまとめています。
小野不由美さんによる中国風異世界を舞台にしたファンタジー小説「十二国記」。
そのEpisode4にあたる『風の万里 黎明の空』は、Episode1『月の影 影の海』のあとの、世界の広がりと登場人物それぞれの苦悩を描く重厚な一篇になっています。
十二国記シリーズを知らない方にも、世界を味わうという点で、いきなり本作から手に取っても十分楽しめます。
ただ、個人的には、より物語の深みを体感できるEpisode1『月の影 影の海』を先に聴いて(読んで)おくことをオススメします!
Episode1から聴こうと思う方は、少なからず先の展開の記載がある本記事を読む際にはご注意ください。
慶国の景王となった陽子は、民の暮らしを知るために街に下り、自分が治めることになる国も実情を把握したいと考えます。
芳国の公主・祥瓊は、父を失った過去を抱えたまま新たな旅へ向かい、蓬莱から渡った鈴もまた、それぞれの理由で慶国を目指します。
3人の少女たちと民、いくつもの想いが交錯し、やがて大きな流れになっていく展開には胸が熱くなりました。
本作でも担当されている、Audible版のナレーター・羽飼まりさんの朗読は、今回も物語へ没入させてくれました。
今回は、十二国記という世界の深さを改めて実感させられる『風の万里 黎明の空』について、レビューを通じて紹介します。
(ネタバレは無いよう配慮していますが、話の中身に触れる点はありますのでご了承ください。)
小野 不由美『十二国記 風の万里 黎明の空』作品概要
発売情報・受賞歴
著者:小野 不由美(1960年12月24日生まれ)
発売日:1994年 (講談社X文庫版)
出版社:新潮社
受賞歴:第5回吉川英治文庫賞(2020年) ※シリーズ全体として受賞
あらすじ
苦難を抱え、人はみなその運命に泣いていた。陽子は王ゆえに葛藤し、少女たちは嫉妬と羨望に哭く。
「十二国記」Episode4
人は、自分の悲しみのために涙する。
陽子は、慶国の玉座に就きながらも役割を果たせず、女王ゆえ信頼を得られぬ己に苦悩していた。
祥瓊(しょうけい)は、芳国(ほうこく)国王である父が簒奪者(さんだつしゃ)に殺され、平穏な暮らしを失くし哭(な)いていた。
そして鈴は、蓬莱(ほうらい)から辿り着いた才国(さいこく)で、苦行を強いられ泣いていた。
それぞれの苦難(くるしみ)を負う少女たちは、葛藤と嫉妬と羨望を抱きながらも幸福(しあわせ)を信じて歩き出すのだが──。
※Audible 風の万里 黎明の空(上) 十二国記 あらすじより引用
Audible版『十二国記 風の万里 黎明の空』の概要
配信日:上巻 2025年11月7日
下巻 2025年12月5日
ナレーター:羽飼 まり
再生時間:上巻 10時間14分
下巻 10時間14分
評価:上巻 ☆5.0 88件の評価
下巻 ☆5.0 125件の評価
▶ Audible公式ページで作品詳細を確認
『十二国記 風の万里 黎明の空』個人レビュー(星評価付き)

物語展開・構成の評価
⭐️⭐️⭐️⭐️☆
『風の万里 黎明の空』は、陽子(ようこ)、祥瓊(しょうけい)、鈴(すず)、それぞれが別の場所で、別の事情を抱えた視点で物語が進んでいきますが、序盤は3人の繋がりには距離を感じました。
でも聴き進めるうちに、「この人たちの迷いは、ちゃんとどこかで交わるんだろうな」という予感が生まれてきて、その感覚が心地よかったです。
十二国記シリーズの中では、メインとなる出来事の規模はそこまで大きくはないですが、一人ひとりが生き方を選ぶ場面が積み重なっていく構成で、物語の中に深く入り込まされていました。
感情の揺さぶりと読後の印象
⭐️⭐️⭐️⭐️☆
この巻で特に印象に残ったのは、街に下りた先で、陽子が自身の知らないところで起きているできごとを知ることで苦しむ姿です。
王としての正しさと、目の前にいる一人ひとりの生活。
そのどちらも簡単に切り捨てられない状況に、「これはファンタジーだけど、すごく現実的だな」と感じました。
最後は主役の3人の少女たちの想いと展開に胸がアツくなり、読後も非常にスッキリとした感じになりました。
登場人物の魅力
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
この巻は、正直「誰か一人を推す」のが難しいです。
Episode1『月の影 影の海』で景王となった陽子は、王になったからといって急に十二国記の世界の知識が身につくわけでもなく、政を常に迷いながら取り組んでいます。
そこで腐ってしまう王もいる中、そこからの陽子の前向きな行動はさすがだと感じました。
芳国公主の祥瓊と、陽子と同じく蓬莱出身の鈴については、置かれた境遇には同情しますが、最初の彼女らの考え方・言動には正直イライラします笑
ただ、その2人が、いろんな人物との出会いを通して成長していく様は、第2,3の主人公と言っても差し支えない存在感を放っています。
その他関わる民の設定も含めて、共感と違和感を同時に抱きながら物語を追えるようになっている作品だと感じました。
ナレーターの演技・声の印象
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
今回もAudibleで十二国記全体を担当されている羽飼まりさんの朗読が完璧でした。
感情を強く乗せすぎずに、人物ごとの違いはきちんと伝える技術は見事です。
この距離感が、『十二国記』の世界観にとても合っていると感じました。
陽子の迷い、芯の強さ、戦いの喧騒など、以前文章で読んだときよりも、登場人物の感情が少しはっきりしたように感じました。

総評
こんな方にオススメします
- 主人公ひとりではなく、複数の人物の視点が交差する物語を楽しめる方
- ファンタジーだけど、現実の社会や人間関係と重ねて読める作品を求めている方
- 朗読を聴くことで、登場人物の感情の揺れを感じたい方
こんな方は合わないかも?
- 登場人物の迷いや葛藤に、じっくり付き合うのが苦手な方
- 多数でてくる人名・地名を耳だけでは理解しづらい方 (活字で読んだ方が理解しやすい方)
Episode4となる『風の万里 黎明の空』は、一気読みしてしまう!というよりは、じっくり噛みしめるタイプの一冊でした。
登場人物たち(特に主役三人)はみんな不器用で、迷ってばかりですが、その感じが妙にリアルで、「自分がこの境遇としたら、わかるなぁ」と感じるところも多かったです。
なお、中国風異世界で繰り広げられる物語には、中国風の人名・地名・現象などたくさんの単語が次々とでてきます。
ここが少し敷居が高いところですので、単語を覚えきれないという方は、最初は紙の本から入ることで、単語が漢字を通すことで頭に入りやすいかもしれません。
ご自身のお好きな方でお試しいただければと思います。
本レビューが少しでも皆さんの参考になって、「聴いてみようかな」と思っていただけたら嬉しいです。
もし聴かれた方がいたら、感想もぜひ教えてくださいね!

十二国記 作品一覧
【本編】
魔性の子(1991年/2001年新装版)
シリーズの原点となる作品。十二国記世界の扉を開く一冊。
月の影 影の海(1992年)
陽子が異界に召喚され、試練の旅を経て成長する物語。上下巻。
本作のレビュー記事については以下よりどうぞ。

風の海 迷宮の岸(1993年)
泰麒が泰国の王を探すために試練を受ける、若き日の物語。
本作のレビュー記事については以下よりどうぞ。

東の海神 西の滄海(1994年)
戴国の幼い王・尚隆と、忠臣・六太の友情と国造りを描く。
風の万里 黎明の空(1994年)
再び陽子が主人公。王としての試練、責任と成長を描く。上下巻。
図南の翼(1996年)
恭国の少女・珠晶が自ら王になるため旅に出る。
黄昏の岸 暁の天(2001年)
再び泰麒が登場。戴国の王・驍宗の行方を追う重厚な物語。上下巻。
白銀の墟 玄の月(2019年)
ついに戴国の行方が描かれる待望の大作。全四巻。
【短編集】
華胥の幽夢(2001年)
短編8作を収録。各国や人物にスポットを当てた外伝的物語。
丕緒の鳥(2013年)
短編4作を収録。市井の人々や脇役たちの視点で描
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初心者の方向けの始め方についての記事もありますので、よければ参考にしてください👌




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