【歌舞伎が難しそうから面白いへ】吉田修一『国宝』が描く歌舞伎と人生

小説


「歌舞伎って海老蔵さんのやつだよね。」「見栄を切るという言葉は知ってるけど。」
正直その程度の知識しか持っていなかったぼくが、Audibleを通して小説『国宝』に出会いました。
役者の生き様や人間関係のドラマを追いかけているうちに、気づけば歌舞伎そのものに惹かれている自分がいてびっくり。
みなさんが気になっているであろう、この作品の魅力について紹介します!(ネタバレ無しです)

著者:吉田修一(1968年9月14日生まれ)
発売日:2018年9月7日
出版社:朝日新聞出版
受賞歴:2018年度芸術選奨文部科学大臣賞・中央公論文芸賞

あらすじ:
1964年、長崎の料亭に生まれた立花喜久雄。極道の家に生まれながら、その美貌と才能は人々を惹きつけ、やがて歌舞伎の道へと進んでいく。
舞台は長崎から東京へ。日本の成長と重なるように芸の世界を駆け抜け、友情と裏切り、栄光と挫折を繰り返しながら、喜久雄は頂点を目指す。
――芸にすべてを賭けた一人の男の、壮大な半生を描いた物語。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

国宝 上/吉田修一【1000円以上送料無料】
価格:880円(税込、送料別) (2025/9/6時点)


[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

国宝 下/吉田修一【1000円以上送料無料】
価格:880円(税込、送料別) (2025/9/6時点)


配信日:2019年12月13日
ナレーター:尾上 菊之助
再生時間:上巻 21時間7分 ※「特別音声版」を含むため実際は半分程度です
     下巻 22時間2分 ※同上

  • 物語の展開:⭐️⭐️⭐️⭐️☆
    幼少期から晩年まで数十年に及ぶ重厚な物語は最後まで展開を予想することができませんでした。
    芸を極めるということの奥深さを体感できます。
    なお、歌舞伎の専門用語や演目についても開設も要所要所で入れてくれるので、知識を取り込みながら詰まることなく読み進められます。
  • 感情の揺さぶり:⭐️⭐️⭐️☆☆
    泣けるというよりは胸が熱くなる、という印象でした。
    喜久雄の見ている景色を描写するシーンでは、自分もその景色が見えているようでグッときました。
  • 登場人物の魅力:⭐️⭐️⭐️⭐️☆
    主人公の喜久雄は美貌や才能だけではなく、人間らしい弱さや迷いも見せるため、単なる「かっこいい主人公」ではない奥行きがあります。
    ライバルとなる俊介やその他周りの人物も立体的で、それぞれの思いがぶつかる場面に引き込まれました。
  • ナレーターのマッチ度:⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
    さすがは歌舞伎俳優の尾上さん。
    作中の喜久雄たちが歌舞伎の演目を演じるシーンもすばらしいクオリティで朗読してくれています。再生速度を標準(1.0x)に戻して聞きたくなるはず!

ここまで歌舞伎を舞台に濃密なストーリーを描いているのは他にも類を見ないと思います。
歌舞伎について興味がある人はもちろん、あまり知見がない人でも引き込まれること間違いなしなのでぜひ触れてみてください。

特に最後のシーンは、その後どうなったのかと想像することになると思います。
みなさんの意見も聞かせていただければ幸いです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました