【異世界転移作品の先駆け!?】『十二国記 月の影 影の海』レビュー

小説

十二国記は中国風の異世界を舞台にしたファンタジー小説です。
1991年の1作目「魔性の子」から2019年の12〜15作目の「白銀の墟 玄の月」まで約30年も続いているシリーズものになります。
ぼくはこの「白銀の墟 玄の月」が発売されたことを知ったのがきっかけで、本シリーズを最初から読み始めることになりました。

15作ということからもわかりますが、ものすごく壮大なストーリーになっています。
個人的には異世界転移作品の先駆けでは?と思っている本作品です。

今回はそのEpisode1となる「月の影 影の海」ついて今回は紹介していきます!
(ネタバレは無いよう配慮していますが、話の中身に触れる点はありますのでご了承ください。)

発売情報・受賞歴

著者:小野 不由美(1960年12月24日生まれ)
発売日:1991年〜2019年
出版社:初刊行は講談社。現在は主に新潮社
受賞歴:第5回吉川英治文庫賞(2020年)

あらすじ

「絶対、帰るんだ!」――平凡な女子高生・陽子の人生は、ある日突然現れたケイキと名乗る男によって一変する。
海を越え、地図にない異界へと連れ去られた彼女を待っていたのは、仲間の裏切り、そして容赦なく襲いかかる異形の獣たちだった。
孤独と恐怖の中で、自分がなぜこの地に呼ばれたのか、なぜ戦わなければならないのかを問い続ける陽子。
次々と苦難が襲いかかる中、「帰還」への執念が彼女を突き動かす。
やがてその決意は、生への強烈な執着へと変わっていく――。

壮大な異世界を舞台に描かれる「十二国記」本編、衝撃の第一作。

配信日:2025年7月11日
ナレーター:羽飼 まり
再生時間:上巻 7時間32分
     下巻 6時間59分
評価:☆4.9 210件の評価 ※上巻より
▶ Audible公式ページで作品詳細を確認

物語展開・構成の評価

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
異世界に突然放り込まれた陽子が、サバイバルとしか言いようのない裏切りや孤独、そして異形の襲撃を乗り越えて、少しずつ成長していきます。
一本の芯として「生き抜く」強さが描かれており、読者を一気に引き込みます。
下巻の締めは展開を巻いている構成になっていますが、その時点ではすでに読者の想像で内容を補填できるくらい物語に馴染んでいるので、個人的には良かったと思います。

感情の揺さぶりと読後の印象

⭐️⭐️⭐️⭐️☆
陽子が異世界にて裏切られ、獣に襲われ、何度も絶望に突き落とされる、ツッコミたくなるほどの仕打ちの連続に特に序盤は自分まで胃がキリキリしてきそうでした。
ただ、その序盤があったからこそ、後半の巻き返しの展開に胸が踊ります。
涙が出てくるような展開ではないですが、胸が熱くなる展開です。

登場人物の魅力

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
主人公の陽子はもちろん、ケイキをはじめ、彼女の前に現れる人物たちが非常に立体的で、ただの助け役や敵役に収まらない存在感を放っています。
登場する度に「この人は味方か、それとも敵か」と疑わせる巧みな描き方に魅了されます。
その中でも「楽俊」の存在はこの物語を支えていると言っても過言ではありません。
ネズミの半獣である彼が聡明で大らかであることにより陽子が支えられます。
この物語を読んだあとはみんな彼のことが大好きになると断言します!

ナレーターの演技・声の印象

⭐️⭐️⭐️⭐️☆
朗読の声は重厚で雰囲気たっぷりで、作風にマッチしています。
たくさん登場するキャラクターも誰が喋っているかがすぐに分かるように演じ分けられています。
上巻と下巻の陽子の成長に伴う心境の変化の表現も見事でした。

累計15作品という壮大な物語になっている十二国記シリーズのEpisode1として、みなさんにオススメしたい作品です。
続くシリーズに進みたくなること間違いなし。

中国風異世界で繰り広げられる物語には、中国風の人名・地名・現象などたくさんの単語が次々とでてきます。
ここが少し敷居が高いところで、その単語を覚えきれないという可能性があります。
そこで、最初は紙の本から入ることで、単語が漢字としても頭に入りますので、耳で聞くだけよりは馴染みやすいと思いますので、自信がない方は紙の本をオススメします。

2025年12月より、本作品「月の影 影の海」がミュージカル化されるとのことです!
これまでミュージカルにはあまり縁の無かったぼくですが、これには興味津々です。
ぜひともチケット入手したいですね。

小説の表紙をイメージしたこのビジュアル、最高ですね!
画像引用:ミュージカル十二国記HPより https://www.tohostage.com/12kokuki/

【本編】
魔性の子(1991年/2001年新装版)
 シリーズの原点となる作品。十二国記世界の扉を開く一冊。

月の影 影の海(1992年)
 陽子が異界に召喚され、試練の旅を経て成長する物語。上下巻。
 今回は本作品についてレビューさせてもらいました。

風の海 迷宮の岸(1993年)
 泰麒が泰国の王を探すために試練を受ける、若き日の物語。上下巻。

東の海神 西の滄海(1994年)
 戴国の幼い王・尚隆と、忠臣・六太の友情と国造りを描く。

風の万里 黎明の空(1994年)
 再び陽子が主人公。王としての試練、責任と成長を描く。上下巻。

図南の翼(1996年)
 恭国の少女・珠晶が自ら王になるため旅に出る。

黄昏の岸 暁の天(2001年)
 再び泰麒が登場。戴国の王・驍宗の行方を追う重厚な物語。上下巻。

白銀の墟 玄の月(2019年)
 ついに戴国の行方が描かれる待望の大作。全四巻。

【短編集】
華胥の幽夢(2001年)
 短編8作を収録。各国や人物にスポットを当てた外伝的物語。

丕緒の鳥(2013年)
 短編4作を収録。市井の人々や脇役たちの視点で描かれる物語。

Amazonのサイトより登録できます。
基本的に無料体験期間があるので、まずはお試しだけでもオススメします。
家事や自動車通勤など、手は空いていないけど耳は空いている時間がある方は、その時間を有効活用できるようになりますよ!

https://www.amazon.co.jp/hz/audible/mlp?ie=UTF8&linkCode=sl2&tag=merarouk-22&linkId=24f3f68cd86c736a2b7d68d9330cb963&language=ja_JP&ref_=as_li_ss_tl

コメント

タイトルとURLをコピーしました