Audibleの本屋大賞特集でこの作品を知り、あらすじを見て惹かれました。
二児同時誘拐事件というショッキングな事件から始まり、30年後をメインの舞台として過去と今がつながって行く展開に惹き込まれ一気に聴き進めることになりました。
感動で胸が熱くなること間違いなしのこの作品の魅力について紹介します!(ネタバレ無しです)
作品概要
著者:塩田 武士(1979年4月21日生まれ)
発売日:2023年9月7日
出版社:朝日新聞出版
受賞歴:2024年本屋大賞第3位、第9回渡辺淳一文学賞
あらすじ:
平成3年(1991年)に神奈川で起きた「二児同時誘拐事件」から30年。
記者・門田は旧知の刑事の死を機に、被害男児が画家・如月脩として活躍していることを知る。
しかし彼は本事件最大の謎の「空白の三年」について沈黙を貫いていた。
門田が取材を重ねる中、事件の真実に迫る鍵として、ある写実画家の存在が浮かび上がる――。
Audible概要
配信日:2024年8月23日
ナレーター:蒼木 智大
再生時間:18時間58分
星で見る『存在のすべてを』個人レビュー ※独断です

- 物語の展開:⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
序盤(30年前)から張り巡らされた伏線が終盤にかけて鮮やかに回収され、最後まで先を予想できない展開が続きました。
過去の事件と現在が巧みに交差し、最後に登場人物のそれぞれの生き方がどう結びついていくのかを楽しむにしながら読み(聴き)進めていくことができました。 - 感情の揺さぶり:⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
泣けます。
特に準主人公:如月脩(本名:内藤亮)の幼少期の境遇に関わるシーンについては、何度も涙がでました。
その育ての親の心情にも胸を打たれることが多く、続きを聴くのが辛くなるシーンもありますが、それでも先を進めていきたくなります。 - 登場人物の魅力:⭐️⭐️⭐️⭐️☆
大日新聞の記者・門田次郎を主人公として物語は進みますが、準主人公の如月脩を始め、刑事や画商、被害者家族など、多彩なキャラクターが絡み合い、事件の深みとリアルさを増しています。
門田が「事件を追う視点」だとすれば、如月脩は「事件を体現する存在」として物語を支えていると感じました。 - ナレーターのマッチ度:⭐️⭐️⭐️☆☆
安定感のある語り口で聞きやすく、作品世界に入りやすいです。
ただし緊迫した場面や感情の爆発を描く場面ではやや淡々と感じられる部分もあり、もう一歩キャラクターや状況に寄り添った表現があればさらに没入度が高まったと思います。
ただ、ここは個人の好みもありますので、あくまでぼくの意見ということになります。
総評 ▷ みなさんに自信持ってオススメできる作品!
サスペンスの緊張感と心情描写の繊細さが両立しており、幅広い読者におすすめできる一冊です。
タイトルにも記載していますが、社会派ミステリとしても一級品です。
誘拐事件の裏側だけでなく、メディアや社会の反応、事件の影響も描かれ、読み応えがあります。
また、個人的には今まであまり知見のなかった「写実画」というものに興味を持ちまして、実際にはどんな作品があるのだろうと調べたりしました。
今まで知らなかった世界のことに触れるきっかけになることも読書のいいところですね。
ぜひ、本作を読んで(聴いて)みてください!

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